ロリーポップが不機嫌なワケ。





いまだに首をさすっている袮夏の横を通り過ぎ、ヤツのベッドに勝手に寝転ぶ。

仰向けに寝転んで目の上に腕を載せると、瞼の熱さが体温より高いことがわかった。

……結構、泣いたな。

さすがに泣き喚きはしなかったが、けれどあんなに泣いたのはいつ振りだろか。

かなり子供の頃が最後だったはず。

……なんであんなに涙が出たんだ、とか。


「……あれ、寝るん?」


ようやく俺が寝転んでいることに気付いたらしい袮夏が、そう聞いてくる。

俺は腕を目の上に乗せたまま、答える。


「あー……疲れたし」

「そりゃあんだけ泣きゃ疲れるわー」

「泣き疲れるとかマジであったんだな」

「ふっ。これだからイケメンは困るぜ」

「あ、今突っ込む気力ねェから」

「あしらう気力はあるくせにコイツっ……!」


とか言いながら、袮夏がベッドに寄り掛かるようにして座ったのが気配でわかった。

漫画か雑誌を手に取り読み始めるのも音で把握。

それからヤツは思い出したかのように。


「あー、別に寝てもええでー」

「言われなくてもそうする」

「そーかいな」

「うん」

「っちゅーことは、俺は本日雑魚寝やんな……起きた時体中バッキバキやで」

「悪い」

「別にええけどー。今日だけやで、今日だけー」

「そりゃどーも」