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目の前で爆笑しているこのバカをどうしてくれようか。
「ぎゃはははははっ!ヤベェ!ヤベェおもしれー!」
「…………」
「目ェ真っ赤!超真っ赤!うさぎか!?うさぎなのか!?」
「…………」
「っちゅーか有架の泣き顔とかレアやで写メ撮るか!?」
がすんっ
「……袮夏。お前はあれか、俺に喧嘩売ってんのか。あ?」
「うぐっ、さ、サーセン調子乗りました申し訳ありませんどうかこの足どけてください死んでまう俺リアルに死んでまううげがはっ!」
立ったまま袮夏の顎下を思い切り蹴り上げてその状態を維持していると、ヤツはバシバシと俺の足を叩いてギブを示す。
足をどけると、袮夏は下を向いて首をさすりながら「三途が見えたわ……」とかなんとかつぶやいた。
そのまま渡ればよかったのに。
袮夏の部屋に入るや否や、部屋主である袮夏が俺を見て爆笑し始めたのでなんとなく予想はついていた。
暗がりから明るい部屋に移動して、目がどんくらい赤いのかというのが明るみになったからだろうと。
めちゃくちゃ目が赤いだろうとは自分でも思っていた。
けど、仮にも結構なダメージを受けて泣いたヤツの目の前で爆笑するとか酷すぎると思うんデスが。
……まあ、あんまりしんみりされないから逆に楽っつーのは、否定できないけど。


