痛いところを突かれたからか、ムキになりだす永瑠は、素直になれない性格の典型的なヤツなんじゃないかと思う。
「普通に素直になりゃいいのに……」
「ど、どういうことだよ!」
「だから、そうやって言いたいこと言ったりすればいいの」
「そんなのオレの勝手だろーが!」
「ふぅん……ま、いいけどね別に。俺には関係ねェし」
「わかってんなら帰れ!一刻も早く!」
「はいはい」と右手を持ち上げ、リビングのドアを開ける。
いつの間にやら部屋に行ってしまった英璃は、永瑠の怒声に呆れてんじゃねェかな。
そんなことを考えつつ、俺はワザと永瑠に聞こえるように。
「永瑠はすげー綺麗な顔してっからー女子っぽくすりゃすげー可愛いと思うけどー」
ばさばさがしゃんがこんどすん。
リビングからものすげー音が響いてきたので、たぶん永瑠があまりの驚愕でズッコケた模様。
けど、俺はあえてリビングへは戻らない。
永瑠がまたうるせェし。
すると案の定。
「おっお前なんか嫌いなんだからなっこのばかああああっ!!」
真面目に近所迷惑な怒声が俺の背中にぶつかった。
バカーって叫ぶとかどんだけだよ。
英璃が慌てて部屋から出てきたけど、俺は何も言わずに永瑠宅を後にした。
「やっぱ変わってねェな、アイツ」
なんて笑ってしまったことは、永瑠には内緒ってことで。


