コール音は11回目で繋がった。
「……もしもし」
『おっすー。どないしたん?電話とか珍しい』
「メールより早いかと思って」
『まあメールやと俺重要事項以外返さへんからな!』
「お前それもう“ラクラクフォン”がいいんじゃねェの」
『うっさいわ!』
「ははっ……つーかさ、お前今、家だよな」
『なんで知っとるんや!リア充やないから予定もねェだろってか!やかましいわ!』
「お前がやかましいわ。そうじゃなくて、今お前ン家の前に居んだよ」
『なんだと!?』
住宅地の中にある一戸建て。
2年経っても変わらないその家の前にある塀にもたれかかり、携帯を片手にアスファルトを見下ろす。
そんな俺の頭上とも言える上の方からガラッと音がして、顔を上げて音の方へ向くと、通話の相手が窓を開けて身を乗り出していた。
部屋の逆光でよく顔が見えなかったけど、目が合ったのはわかった。
『うおっホンマに居るとか予想外やわ!』
携帯と同時に聞こえてくる上からの声に、ヤツが目を丸くしていることは明白で。
なんで俺がここに実際に居たらそんな驚くんだよとか言おうとしたけど、やっぱ面倒だからやめた。
今はそんな気力ない。
再度携帯を耳に当て、言う。