ロリーポップが不機嫌なワケ。





外灯やマンションの明かりで、真っ暗にはならないその場所に。

どうしてか、七瀬の姿があった。


「……なんで居んの」


歩み寄ってくる七瀬にそう尋ねると、七瀬はニコリと笑った。


「有架くんの危機を察したのですよ七瀬さんはー」

「……能力者かよ」

「あははー。そうだったらいいのにねー」


俺の目の前で立ち止まり、手を後ろに組んで七瀬は首を右にかたむけた。

キャラメルのような色をした七瀬の長い髪の毛が、さらさらと肩から落ちた。


「……有架」

「……ん?」

「キミ、告白されましたね?」

「…………っ」


なんで知ってんの、とか。

そうだよ、だとか。

何も言えずに、どういっていいかわからずに黙り込んだ俺に。

対する七瀬は愉快そうに笑顔を浮かべ、右手で俺の肩を叩いた。


「いやー、モテるヤツは大変だねー!七瀬さんもちょっと妬いちゃうよねこれ!心広いはずだったんだけどな私ー!」

「……七瀬」

「うん?なんだい?いや、聞かなくてもわかっちゃうけどね?なんで知ってんだーみたいな顔してる」