リビングを出る間際、道具を片づけている永瑠へと振り返り、
「なあ」
「……なんだよ」
こちらを一瞥してから反応を返す永瑠に、尋ねる。
「なんでお前、部屋のドア開けたのが俺だってわかったんだよ」
ホントどうでもいい質問だとは思うけど、俺はなんとなく気になったのだ。
考えても見てほしい。
俺が永瑠の部屋のドアを開けた瞬間に辞書が飛んできたワケで、でも俺は別に永瑠に「部屋行くから」とか教えていたワケでもなくて。
で、俺がこっちに帰って来たのは昨日で、だからと言って永瑠の部屋に行くとは誰にも言ってない。
俺だって気分で行ったんだし。
永瑠は手を止めて、しばらく沈黙した後。
「……足音でわかっただけだし」
「足音でわかるとか俺どんな歩き方してんの」
「どうでもいいだろ!ってか早く帰れ!母さんたちに会うのは明日でもいいだろーが!」
やはり最終的には、喧嘩腰になる永瑠。
「……もしかしてお前、友達居ない?」
「なっなんだよ突然!」
「しかもモテない?」
「モテなくて結構だし!」
どうやら全て図星らしい。


