「……まあ、たぶんアレ。理系イコール男脳、文系イコール女脳って感じらしい。女でも理系居るけど、少ないのはたしか」
「そうなのか……」
「たぶん。物を立体的に見れるヤツはたいてい理系とか聞くけど、実際は知らねェ」
「立体的に見れるヤツ……」
「あ、お前が文系だってのはわかってるからムリすんな」
「うっせェなコノヤロウ!どーせオレにはムリだよ!」
「ま、お前一応女だしな」
「…………」
「なんで黙んの」
「別に深い意味はねェ!」
バンッとノートを閉じて立ち上がった永瑠。
その横顔はやっぱ不機嫌そうだけど、なんとなく照れているように見えなくもない。
99.9%気のせいだろうけど。
「なに、もうやめんの?諦め早ェな」
「お前がいちいちうるさいからだ!やっぱり部屋でする!お前は帰れ!」
「勉強教えてやったのにお礼はなしかよ」
「アリガトウゴザイマシタ。これでいいだろ」
「棒読みすんなよ、ありがたみねェから」
「ありがたくなかったからな」
「そォかよ。じゃ、今度からわかんねェとこあっても、俺に聞くなよ」
「あ、当たり前だっつーの……や、うん、たぶん」
「説得力皆無だな」
呆れつつ椅子から立ち上がる俺は、不意にまったくもってどうでもいいことが気になって。


