「で、どうすんの?」
置いてあった鏡を見つめて眼鏡をかけたり外したりしている永瑠に問いかける。
永瑠はこちらに視線を向け、もう一度。
「……へ、変じゃない、よな?」
「だから、似合ってるって」
「そっか……」
「うん」
「……。じゃあ、こ、これにする……」
おずおずと眼鏡を外して差し出してくる永瑠に、なんか笑えて来て、俺は微かに笑いながら「りょーかい」と、それを受け取った。
*****
眼鏡ひとつ変えるだけでも結構時間がかかるんだなと把握。
眼鏡を購入してから店を出たのは、着いてから1時間は余裕で過ぎている頃だった。
それから飯食ったりとかして、家路についたのは夕方くらい。
予想外に時間を使っていたらしい。
外を歩いていたから、直射日光で結構な体力奪われるのは否めない。
永瑠はそんなにアウトドア派ではないので、疲れ切ったのか帰り道につく頃には口数がかなり減っていた。
その腕には新しい眼鏡の入った袋が抱えられていて、なんでかけないのかと聞いたら、“帰って英璃に見てもらう”とか言いやがった。
失礼なヤツ。


