事実、眼鏡をかけていない永瑠はフツーに可愛いと思うし。
“フツー”とかいう単語が似合わないくらい。
……とか言ってみる。
そして飛び退いた永瑠はしきりに黒目を泳がせていて。
「よくないし!眼鏡あった方がいい!」
「そう?」
「絶対!っていうか、コンタクトとか怖いし!」
「そこかよ」
「目に何か入れるとか絶対痛い!」
じゃあ常日頃コンタクトしている人はどんだけ痛いの我慢すりゃいいのって感じだけど、永瑠はすでに聞く耳を持たず、黒縁眼鏡を睨み始めたので言うのをやめた。
……いや、ちょっと待て。
「やっぱ黒なんだ」
「黒だよ!」
「そこまで全身モノクロにしたいのか」
「うん。……っていうか、その、オレセンスないから……」
「まあ、いっつもTシャツにジーンズだしな」
「うるせェ!」
キッとこちらを睨み上げる永瑠は、今日も今日とてTシャツにジーンズなわけだし。
しかもたいていモノクロ系。
他にないのかよ。
ファッション雑誌くらい買えばいいのにって思うけど、そういう雑誌を買うことにすら抵抗を覚えるのかもしれない。


