言うと、永瑠はようやく理解したのか、『そ、そうなのか』と幾分か落ち着いた様子でうなずいた。
コイツは一度焦ると落ち着くまでに時間がかかってしょうがない。
ようやく口を閉じた永瑠に息をつく。
『……んじゃ、早く用意しろ』
『え!?今から行くのか!?』
『もう10時過ぎてんだけど』
『なんだと!?』と驚愕の声を上げ、リビングの壁にかかっている時計へと視線を向けた永瑠は、ソファから飛び降りるように立ち上がった。
それからハッとしたように自分の姿を見下ろして、
『……ぱ、パジャマだしっ』
ものすごくショックだと言いたげな口調でそうつぶやいたかと思うと、嵐のごとくリビングから飛び出していった。
……いやホントに嵐が去った。
『……なんなんだアイツ』
永瑠が出て行ったリビングのドアを見つめながら唖然と言うと、英璃が感心したように俺の背中を叩いた。
『すっげー。やっぱ有架兄ちゃんの力は偉大だね』
『いや意味わかんないから』
『姉ちゃんが生き返ってホッとした』
『そんなにかよ』


