「キライ。アンタなんて大ッキライ」

 ぷいと横を向く彼女も可愛くて愛おしい。

「僕は大好きだけど」

「キライだもん」

 僕の言葉に耳を赤くしていては、説得力なんて皆無だ。

「ねぇ、大好きだから、機嫌を直して?」

 何で拗ねてるのかも正直分からないんだけど。

「キライキライキライキライキライキライキライキライ止めて!」

 近づけた鼻先を、払いのけられてしまった。

「ねぇ、本当に僕が嫌いなの? 違うでしょ? それともこのままお別れしたい?」

 立ち上がる素振りを見せると、彼女がハッと泣きそうな顔を上げた。

「黄色い花が……」

 そう言って俯いて、黙り込む彼女。さっきまで太くピンと立っていた尻尾も、しょんぼりと垂れてしまった。



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