窓の外は秋晴れ。

 柄にもなく、コスモスの花なんて飾ってみる。

 部屋も片付けて、いつもより女らしさを演出してみた。……つもり。

 ――ピンポーン。

「ハーイいらっしゃ……ふ……ぶぇっくしゅん!!」

「ぅを!?……オマエはオヤジか!」

「ちーがーいーまーっ……ぶえっくしょ~ん!」

 くしゃみが止まらない。

 爆笑する失礼なオトコは置いといて。

 これは女子として問題かも。自覚はあるんだよ。オヤジみたいなくしゃみ。

 でも、息を止めても、水を一気飲みしても、どうにもこうにも止ま……っ……っぐしゅん!

「てかそれ、くしゃみじゃなくて、しゃっくりの止め方だから」

 はっ! そうか!
 ううぅ……悔しい。
 んで、なんかムカつく。

 ――くしゅん。

 言い返そうとした時、可愛いくしゃみが聞こえた。

 お隣に住む学生さんだ。

 気まずそうにこちらに会釈して、部屋に入っていった。

 ……かーわーいーいー!
 っぐしゅん!

 ごめんね。玄関口で喋ってる私たちが悪いの。だからアナタは気まずそうにしなくて良いのよ。

「オマエとの差が……! ックク……」

 ……だから笑いすぎだバカ。
 心なしか、コスモスまで一緒にクスクス笑ってるみたいに見える。



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