やってしまった。
 罪悪感と、ちょっと清々した気持ち。

 ベッドの上で、うぅ~……とか、あー! とか唸りながらゴロゴロしている私は、きっと相当アヤシイ。

 両親に貰った『真白(ましろ)』という名にかけて、汚いことはしたくないと思っていたのに。
 ヒロインを呼び出して嫌がらせを言ったりするライバルとか、サイテーだと思っていたのに。

 部活に行く途中で見かけた、職員室から出てきた彼女をつい、呼び止めてしまった。しかも、階段下まで連れ出すなんて。

 ……完全に悪役のすることだし!

『ねぇ……なんでアナタが芦田の彼女なの』

 彼女は何か言おうとして、でも、何も言わずに俯(うつむ)いた。

『私の方が、ずっと前から一緒だったのに』

 一年生の頃からずっと、部活も、クラスも一緒だったのに。

『私の方が、ずっと近くにいたのに』

 なんで。なんでアナタなの。

『私だったら、芦田の試合には絶対行く』

 芦田より大事な用事なんか無いから。

『部活が終わるのも待ってるよ』

 大きくなる声を、責めるような口調を、止められなかった。

『私の方がお似合いだって、みんな言ってるんだから』

 ――ポタリ。と、涙の雫が落ちた。
 私のだったのか、彼女のだったのかは分からない。

『ねぇ、芦田のこと、すき?』

 私は好きだよ。

 ねぇ、ここで即答できないの?

『冷たいよ……』

 だったら。
 好きじゃないなら。

『芦田と別れ……』

『マネージャー?』

 瞬間、私は走り出していた。


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