「サンキュー! やっぱマネージャー上手いな~!」

 私がテーピングした右足にスパイクを履(は)いて、軽くジャンプして調子をみている。水溜まりを気にしないから泥水が跳ねて、芦田の白いソックスと、私のジャージの裾(すそ)を汚した。

 ねぇ芦田……他の部員たちは、私の方がお似合いだって言ってるんだよ。

「ねぇ、彼女は来てないの?」

 びっくりした。今のは私の台詞じゃない。副部長の鳴神(なるかみ)だ。フェンスの向こうの自分の彼女に小さく手を振って、芦田を覗(のぞ)き込んだ。

「化学部の子だろ? どの子?」

「ん? 来てないけど」

「え……何で?」

 芦田をからかおうとしていたんだろうな。鳴神が、言葉を無くした。


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