フワッと吹いた風から、雨上がりの新緑の匂いがする。
校舎裏には色んな草花が生えていて、いつ来ても飽きない。フェンスの向こう側にはヒメジョオンやシロツメグサ。あぁ、去年はネジバナやニワゼキショウも見かけたっけ。
「ねぇ麗ちゃん。あの花、ずっと咲いてるよね?」
隣に座る綺が、その向こう側の麗に弁当用のプラスチックのフォークでフェンスの向こうを示す。
あぁヒメジョオン……っていうか綺、行儀悪い。
「あ、そうかも。桜が散り始めた頃も咲いてたものね! 頑張るなぁ……」
フェンスの内側に生えてた分は抜かれて可哀想……とかなんとか二人は話しているけど。
待て。ちょっと待て二人!
「ちょ……二人とも……! 四月に咲いてたのはハルジオン、今咲いてるのはヒメジョオンだから! パッと見は似てるけど、違うんだよ?」
同じ花がずっと咲いてた訳じゃない。
「へ~そうなんだ!」
「さすがゆーた君。次期園芸部部長さんだねぇ」
あぁもう信じられない。「嘆(なげ)かわしい……」とか呟(つぶや)きながら下を向いて、眉間(みけん)を押さえてみせる。って、オーバーリアクションで遊んでる場合じゃなかった。
僕は起き上がって、二人の方に向き直った。
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