クラスは違うけど、僕ら三人はいつも一緒にいる気がする。
 女二人に男が一人。普通ならからかわれたりする状況だ。なのに同級生たちに何も言われたことがないのは、二人の通訳……ならぬ判定人として僕が認識されているからなんだろう。

 校舎裏へ向かって綺(きらら)と麗(うらら)の三人で廊下を歩いていると、後ろから古典の遠藤先生に呼び止められた。

「谷崎!」

「はい?」

 麗と綺の両方が振り返る。

「あー……髪解けた方……麗か? 落ちたぞ。ホレ」

 麗が結んだ髪に付けていたはずの飾りゴム……シュシュ? だっけか……を投げられた。

「わ! ありがとうございます! ちなみに綺の方です~」

「おぉそうか。そりゃスマン」

 反射神経がニブい麗が落としそうになりながらギリギリでキャッチして答えると、先生は苦笑しながら軽く右手を挙げて、職員室の方向に去っていった。



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