ハルジオンの花言葉は
「追想の愛」



「谷崎さん、何、ニヤニヤしてるんですか?」

 ぼーっとしていたら、営業部の新川さんに声を掛けられた。

「……あの花」

「はい?花見に来て、桜じゃくて、草……ですか?」

 私が指差した方を見て、キョトンとした新川さん。折角の男前が台無しかも。

「ふふっ。あの花にも、双子みたいに似てる種類があるんですよ。それを教えてくれた男の子がいたなぁ……って」

「はぁ……」

「その子は、私と綺ちゃんを間違えなかったな~って、考えてたんです」

「俺も、判りますけど?」

「知ってます。ただの思い出話ですよ」

 納得いかなさそうな顔でこっちを見る新川さんに、微笑みを返す。
 今思えばその男の子が初恋の人だってことは、秘密です。



end.

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