昼休みはゆーたと三人で校舎裏でお弁当を食べるのが習慣になっていた。あっちは購買で買う派だから、お弁当はこっちだけなんだけど。

 購買の手前でゆーたがカツサンドとジュースを買ってくるのを待ってから一緒に歩いていると、後ろから私の担任に呼び止められた。

「谷崎!」

「はい?」

 綺(きらら)ちゃんと同時に振り向く。

「あー……髪結んでる方……麗(うらら)か? 落ちたぞ。ホレ」

 私が、左側で結んだ髪に付けていたはずのシュシュを投げられた。

「わ! ありがとうございます! ちなみに綺の方です~」

「おぉそうか。そりゃスマン」

 よろけながらなんとか受け取った私が答えると、先生は軽く手を挙げて、職員室の方向に去っていった。

「遠藤先生、まだ私と麗ちゃんの見分けが付いてないんだねぇ……一年の時古典習ってたんだけどなぁ……」

 綺ちゃんが諦め半分に言って、ため息を吐いた。

「っていうか、私なんて今年の担任だよ」

 そりゃ、担任になってまだ一ヶ月ちょっとしか経ってないけど。ガッカリ。でもやっぱり、私たちの見分けを付けるのは難しいんだなって、ホッとするような。変な気分。



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