「黄色い花? 公園の?」

 彼女が小さく肯(うなづ)いた。

 ……どうやらさっき、僕が格好つけて鯉を狙ったのが良くなかった様だ。その時、彼女が好きな池のほとりに咲く黄色い花を、踏み荒らしてしまっていたらしい。

「それは……ごめん。これからは気を付けるよ」

 鯉に夢中で気付かなかった。

 でも。

「嫌いって言ったのは撤回してくれるよね?」

 君だって、僕のこと、大好きでしょう?

「しない!」

「僕とお別れするのが嫌なくせに?」

「しないもん!」

 やっぱり耳が赤い彼女。尻尾を絡めると、恥ずかしそうに顔を伏せた。

「はいはい。もぅ大好き! って書いてあるから、許してあげる」

 また、「キライ」と言いながら顔を背けられた。


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