「九条 莉子。帰るぞ」 「…な、なんで名前知ってるの?帰るぞって…どういう事?」 「…話しは後だ」 男は私の腕を掴むと、半ば強引に引っ張りながら階段を降りて行く。 ま、まさか…誘拐? 私拉致されちゃうの? 「や、やだっ。離してっ」 「断る。仕事を投げ出す訳にはいかねぇからな」 「……わ、わかった。わかったから、離して…」 「……ったく」 男は腑に落ちなそうにしながらも、私の腕から手を離してくれた。 …なんとかして逃げなきゃ。