―――高校三年生の春――― ホームルームが終わり、私はあまり人が来る事のない屋上へと続く階段を上がって行く。 この事は誰にも内緒。 もちろん、友達には帰るって言ってあるから鞄を持って帰った振りをした。 「…遅い」 「ごめんね。ちょっと、ぼーっとしちゃってたよ。怒ってる?」 「別に怒ってねぇよ。それより、おいで」 目の前にいるのは、私の友達で…誰にも内緒な関係でもある。 私は手を引かれるまま、彼に抱きしめられる。