「…乗れ」 「…い、嫌よ。私を誘拐しても何にも得な事はないんだからっ。だから、誘拐するなら他の人に」 「お前…馬鹿か?」 「…だ、だってっ。こんな真っ黒な怪しい車に乗るなんて、誘拐しか考えられない…」 「…お前なんか誘拐するかよ。どうせ監禁するなら、色気ある女を選ぶに決まってんだろ」 「なっ、な、なによっ。色気なくて悪かったわね」 「とにかく乗れ」 男は私の後ろへ立つと、ドンっと背中を押して無理矢理車へ乗せられた。