「離れてくれないか」
目の前が真っ暗になるほどの衝撃に私の体は固く動けなくなる。
同じ布団に入っているのに体はどんどん冷えていく。
謝りたいのに声を出すことすら出来なくて、ただただ恐怖を感じていた。
「離れぬならこちらが動くまでだ」
そして、更に私を追い込む言葉が落ちてくる。
信じられないような現実を受け止められず、だけど彼を失うかもしれないという恐怖に心が凍り付いたように冷たい。
彼にこれ以上突き放されるのが怖くて、動かない体を必死に動かして布団から転がりでた私は自分の布団に入る気になれずに三成の布団のそばに座って考えた。
謝らなきゃって、何とかしなきゃって必死に考えるのに言葉よりも出てきたのは涙だった。
ポロポロと零れ落ちる涙が着物にどんどんとシミを作っていく。
止まることのない涙がぱたりぱたりと着物に落ちる度に音を立てる。
「情けないな…」
俯き涙が流れるまま動かない私の耳にポツリと届いたのは三成の声。
「すまぬ」
振り向き、彼に視線を向けようと畳に手をついた私の背中からふわりと包み込まれるように温もりを感じた。


