いつも私にはほんのり甘さをのせて接してくれる三成だけど、今日はいつもより糖度が高い気がするよ?
「すごく嬉しい!」
だから私も思いっきり甘えたくて三成に飛びつくように抱きついた。
勢いをつけたのに簡単に私をその腕で受け止めてくれる三成。
いつもなら勢い良く飛びつくとよく見ないとわからないくらいに薄くだけど眉間に縦縞が描かれるのにぎゅうっと抱きしめてくれる。
「ふふ…甘々だ」
思わず零れた言葉に恥ずかしくて彼の胸に顔をぎゅうっと押し付けた。
でも…
どうして震えているの?
三成の体が微かに震えている。
「紫衣、明後日、城に招待された。」
明後日…
とうとう城へ行く日が正式に決まったんだ。
「わかりました」
本当は城へなんか行きたくない。
ずっと、この屋敷で三成の帰りを待っていたい。
だけど、行かないって言えば三成の立場が悪くなるんだよね?
「大丈夫です。ちゃんと修行しましたから!」
そうよ!
城に行っても恥ずかしくないように、三成の妻として彼に恥をかかさないようにと毎日特訓したんだよ。
うん!大丈夫!
だから心配しないで!
重々しい空気を消し去りたくて努めて明るい声を出す私。
だけど、三成は私を抱きしめる腕の力を強めただけで何も話してくれない。


