お城に行くと決めてから、やはりバタバタとした日々を過ごした私は、正直なところ疲労困憊。


毎日、新しい作法の習得と今までのおさらいに日々明け暮れた。


「よく頑張りました」


「これでどこに出ても恥ずかしくない正真正銘の姫君ですよ」


「外見や所作は何とかなっても、厄介なのはその性格だぞ」


毎度お馴染みの3人衆のありがたく、そしてムカつく言葉を聞きながらも座っているのがやっとな私。


言うまでもなく一言余計な言葉を言ってくれちゃってる最後の発言者は紅葉さんで最初の淡白な誉め言葉は椿さん、恥ずかしい言葉をサラリと言えちゃう桔梗さんは真ん中の発言。


「寝る…」


まだ話があるのはわかってる…わかってるけど眠い。


瞼が重くて仕方がない。

「布団の準備は整っていますよ」


「うん…ありがとう椿さん」


のそのそと布団に移動する私の背後では紅葉さんと桔梗さんが肩を寄せ合ってコソコソと話をしていたけど、そんなのに構っている余裕なんて私にはない。


本当に眠い。


布団にダイブしたい。


立ち上がるのも億劫なので四つん這いのまま布団に近づくと、そのまま布団にダイブした。


「あれがどこに出しても恥ずかしくない姫君なのか?」


紅葉さんの意地の悪い言葉に怒る気力もないままに瞼の重みに逆らわずに眠りについた。