「おめでとうございます。立派な男の子ですよ。お世継ぎの誕生です。」


肩で息をする私に掛けられる声。


オギャーという元気な泣き声と共に興奮した様子で早口で伝えられた。


「見たいよ…――。
………見せて、赤ちゃん……………見たい。」


起きあがろうとしても動かない体。


下半身がまるで自分のものじゃないみたいだ。


それに下腹部がズキズキと痛み、顔を歪めてしまった。


「動いてはいけません。」


忙しく動き回る人達は私の心配はしてくれず、赤ちゃんのお世話とお産の片付けの手を休めない。

なんだか放置されてるみたいで寂しい…。


それに不満だ。


赤ちゃんを生んだのは私だもん。


早く見たい!


普通片付けよりも母子の対面を優先しないものなの?


「朱里さん!しゅーりーさーんー。朱理さんはいないの?」


あまりの放置にたまりかねた私は朱理さんの名前を呼んだ。


だけど朱理さんの返事はなく、


「赤ちゃん見たいよ。」

わたしはポツリと呟いた。