とうとう宴の日を迎えた。


朝から屋敷中バタバタと忙しそうに準備を進めている。



「紫衣様、このお着物よりもこちらのお着物の方がよろしいのではありませんか?」


「いいえ、紫衣様にはそのお色よりもこちらのお色の方がお顔映りがよろしいと思いますよ。」


「髪の飾りは?櫛は?」


「重家様のお着物は?」


「紫衣様」


紫衣様、紫衣様.......





って...



うるさぁぁぁぁぁいぃぃぃ!!


なんて言えない私は頭がガンガンするのに耐えながら一つ一つ指示を出していく。




朱里さんがいてくれたら、きっとスムーズに進むのだろうけど、朱里さんは朱里さんで忙しいのだから仕方がない。



だけど宴は日が落ちてから始めるんでしょう?


今、やっと朝餉を済ませたところだよ?


そんなに早くから着替えをしてなくちゃいけないのかな?


重家なんてあんまり早くに着替えをさせていたら汚しちゃって後で困るんじゃないだろうか...。



「重家と私の着替えは私が選んでおきますから、皆さんは他の所のお手伝いをお願いします」



重家と2人になりたい私は女中の皆さんに声を掛けて部屋から出るように促してみたけれど、


「何を仰います!紫衣様!今日は宴なのですよ。紫衣様の身だしなみは私達が任されているのです」



胸を張りすぎだよって言いたくなるくらいにデーンと体を反らしながら応える女中さん達にわからないように軽くため息を吐き出した。



っていうか!


三成がどんな着物を着るのかわからないんだから、私と重家の着物を決めろっていう方が無理がある!


だって2人の衣装のバランスをはかるのではなく、3人の衣装のバランスをきちんと取りたいだから!




もう!!


ホントうんざりなんだけど!!