パーキングで仮眠をとった後ノンストップで走りつづけ、到着した場所は山口県。


かつて関ヶ原で西軍総大将を務めた毛利輝元が治めた場所だ。


私にとって関ヶ原の合戦は今と同じ未来の出来事で本を読んで、知識を得た。

毛利家の所領は関ヶ原での敗戦後120万石だった所領が37万石に減俸された。


「総大将だった輝元が関ヶ原に参戦していたら西軍は負けなかったのかもしれないね。」


かつて輝元が築城したと言われる萩城があった萩城跡指月公園で休息をとる芽衣ちゃんが私に話しかけてきた。

「そう…なのかな…。」

現代での歴史は私にとっては未来。


もしもって空想をしない訳じゃないけど、よくわからないんだ。


「だってそうでしょう?4万もの軍勢を率いて大阪城に入城したのに、どうして関ヶ原に着陣しなかったのか不思議じゃない?」


「秀頼を守るためなんでしょう?」


「けど実際は守れてないじゃない。」


「そうだけど…」


「総大将の輝元が着陣していたら西軍武将の裏切りや寝返りもなかったと思うよ。」


廃城され、今は堀と石垣だけを残す公園。


建物のない広い公園をぐるり見て回っても今立っている場所に立派なお城があった事も想像がつかない私は芽衣ちゃんの言葉に本で読んだ通りの返答を返すことしか出来なかった。


もしも関ヶ原でお兄ちゃんが勝っていたら。


それは私には想像ではなく今だに胸を締め付ける程切実な願望なんだ。


歴史は変わらない。


現代に生きる私には歴史はあくまでも過去であり、変えたくても変えようがないものなんだ。