部屋の中で体を小さくして座る私の前でため息を吐き出す人は私をあの場から連れ去った人で、愛しい私の旦那様でもある三成。


「懲りないな。」


呆れたようにかけられた言葉に肩を落とすしかない私。


何度挑戦しても目標を達成したことはない。


シュンと肩を落として俯く私を抱き寄せる優しい腕のぬくもり。


「たいした根性だ。」


私をその腕の中に閉じこめたままクツクツと喉を鳴らして笑った。


お城では自由に出入り出来たあの場所に今は出入りが許されない。


それが私にはとっても不満だった。


「どうして入っちゃいけないの?」


だってそうでしょう私は三成の妻なんでしょう?

大好きな旦那様のご飯を作っちゃいけないの?


重家の離乳食だって作りたい。


「入ってはいけないなんて誰も言っていないだろう?」


「でもいつも入れてもらえません。」


「それは時間の加減なのではないか?」


「もっと早く行けばいいのですか?」


三成は穏やかに、だけど私はちょっぴり意気込んでの会話が続く。


けれど、今以上に早くなんて無理…。


今でも精一杯なんだもん。


これ以上の早起きなんてしたら眠る時間がなくなっちゃう。


「そうではない。
むしろその逆だ。」


「…え?」


「皆が仕事を終える時間なら入れてもらえるだろう。」


確かに一日中使ってるわけではなく、私が行くのは決まって一番活気のある時間帯で、


「だけど、それだと意味がないんです!」


だってそうでしょう?


忙しくない時間に食事の支度をしたって間に合わないじゃない。


「そうだろうな。」


「だったら!」


「でも、その時間でなくては入ってはいけないよ。」


私の言葉を遮るようにピシャリと言い放つ三成。

ちょっぴり怒ってらっしゃる?