良君が狂ったように探している。


紫衣に繋がる道を…。


真衣ちゃんの言葉が私の頭の中でぐるぐると回っている。


どうして?


良君は真衣ちゃんを選んだんじゃないの?


紫衣は泣いてたんだよ?

邪魔者は自分だって泣いてたんだ。


さよならしたのは私。


紫衣の心のまま、私が良君に別れを告げた。


私達は互いの世界や愛する人との決別をして、幸せを掴んだ。


ひとりぼっちの世界で自分の居場所を見つけたんだよ?


幸せになりたいって思えるようになったんだよ?


幸せにしたいって思う人と一緒に歩く道を見つけたんだよ?


家に続く道を街頭の電気に照らされながら4人で並んで歩く。


私と佐和さんの前を歩く芽衣ちゃんと嶋田さん。

寄り添いながら歩く2人も何も話さない。


いつもなら芽衣ちゃんが嶋田さんの腕に絡みつきながら何度も振り返って私と佐和さんに話しかけてくる。


話に夢中になると芽衣ちゃんは体ごと私達に向いて後ろを向きながら歩くんだ。


そんな芽衣ちゃんを優しくサポートしながら歩く嶋田さんは危ないってぶつぶつ言いながらも彼女を愛しそうに見つめているんだ。


だけど今、私達を包むのは夜の闇と重い空気、そして沈黙だった。


真衣ちゃんの言葉がぐるぐると頭の中で暴れている。


「邪魔をしないで!」


彼女の瞳にこもっていた憎しみ。


刺々しい言葉。


思い出すだけで肩が小さく跳ねた。


怖い。


ただ怯えていた。





「ふぁーぁー………。」


重い空気に響く間の抜けた声。


大きな体を伸ばしながら息を吐き出す佐和さん。

両手を上げながら背伸びをする彼と繋がれた私の手も空に向かって持ち上げられた。