「やあ、お嬢さん。おいで」

あたしは、中にいる誰かに呼ばれて入っていった。

「まぁっ....」

その中はまるで楽園のようだった。

「どうだい?」

ウサギさんが、あたしの方に近づいてきた。

「ウサギさん...でも、あたしどうしていいのかしら?」

「何がだい?」

「ここはあたしが知らない世界で、ここの世界はあたしのことを誰も知らない」

あたしは、その楽園のような世界の中で膝をついた。


「お嬢ちゃん...」


ウサギさんは、その楽園の奥に入っていった。

「ほらっ。ウサギさん、またでしょう?」

あたしは立ち上がった。

「また、ウサギさんは...。あたしを置いていってしまうんでしょう?」

あたしは、ヨロヨロとした足でウサギさんを追いかけた。


「ウサギさん?」


そしてまた進んでいった。


「ウサギさ~ん。あたしはここよぉ...」


あたしは、だんだん辺りが暗くなっていくのが分かった。


「ウサギさぁぁ~ん!!」


もう、あたしは歩くのが嫌になって立ち止まった。

そして、また、うえ~んと大きな声で泣き喚いた。



「お譲ちゃん。おいで....」



あたしは、顔を上げた。