「マリア!」

あたしの名前は、城崎 マリア。
城崎家の次女なの!!

「マリア!マリア!マリアはどこなの!?」

お姉さまの声だわ!!

「お姉さま、ここよ。」

「まあ、マリア。こんな所に隠れていたの。」

「すみません、お姉さま。」

「まあ、いいわ。行くわよ、マリア。」

あたしは、グイッと腕を引っ張られた。

「お姉さま!?行くってどこへ?」

「あら?聞いていないの?お父様から…。」

「お父様が何か…?」

「ま、いいわ。聞いていない方が、楽しみがあるわ。」

…?
何のことかしら?
あたしが、何も知らされていないのに。

「マリア、このドレスに着替えてちょうだい。」

…?
「え?このドレスって…?」

お母様が以前着ていたことのある…。
確か、このドレスは…魔法のドレスと呼ばれていた。

「マリア、お母様はあなたに託しているわ。」

「え…?お母様が…?」

ずっと、お姉さまが優先してきたから。
お姉さまが、このドレスを着るとばかり思っていたわ。

「マリアが、お母様と同じ道を進むのよ。」

「えぇ、お姉さま。」

「マリア、マリアは確か、絵本が好きだったわよね…?」

「…?えっ…、えぇ、お姉さま。それが何か。」

「いえ、なんでもないわ。これ、置いていくわね。」

え?
この絵本は…。

「おとぎ話…?」

「えぇ、ドレスを着たらその絵本を読みなさい。」

「はいっ!!お姉さま!!」




そのとき、
あたしは、
なにか、
嫌な予感に近く、
お姉さまと 永遠の別れをしたようだった。