「私が10年以上渡せられなかったのは貴女をずっと探していたからなの…
手紙みたいなんだけど」


その手紙はとても綺麗に保存されていたみたいに、全く古くなった気配が無かった。


「空が最後に書いた字らしいの…最後には喋る事も動く事も出来なかったみたいなの…」


詩美の目に涙が溜まっているのが分かった。


「じゃ私はこの辺で…」


「お母さん!!ありがと!」


玄関のドアを開けようとした詩美に私は言った。


「血が繋がらなくても、
貴女は私の大事なお母さんです…だから、いつまでも私のお母さんでいて下さい…!!」



会えて良かった…

話せて良かった…


お父さんが好きになった気持ち…

分かったよ…


「こんな母親で良ければ…娘に会えて感謝してます。空に宜しく……」


お母さんは…

空とそっくりな笑顔で私の家を出ていった。