さっきまで誰の気配もなかったはずなのに……。
誰ですかッ!??
そう言ったつもりだったのに声が出なかった。
――ッ!
ガンッ!!
“…クルシイ ツライ タスケテ…” そんな感情が突然、李衣香の内(なか)に流れこんできた。
ヤダ…ッ!! 来ないで…ッ!! あ、頭が…ッ!! 痛い…!!
ガンガン頭が痛む。
体中が冷たくて、苦しい。
それを必死で拒む李衣香。
8年前……
―“あのとき”― と同じ… 感覚…
“アナタハ、シアワセ? ドウシテ… ナンデ? ワタシハ… コンナ二 クルシイ…ノニ…”
なにかが李衣香に、訴えてくる。
そのたびに李衣香の苦しみは、増す。
イヤッ!! やめてッ!! あなたは誰? あたしの内に来ないでよッ!!
精一杯の抵抗。
だが、李衣香の力は、徐々に弱まっていった。
意識が飛んでしまいそう……
誰か…助けて…

