9月中旬。


綾子は永眠した。

再び、目を覚ますことはなかった

しかし、その顔は、笑っていた

死ぬ直前、綾子は遺書を残していた

『刑事さんへ
ごめんなさい。私はもう一回、家族に会いたいだけなのです

今度こそ、幸せになってみせます

今度こそ、自分だけ生き延びることを考えません

今度こそ、家族を守ります

もう次の作戦は考えました
泥棒だけを、殺すのです
家族は絶対殺しません
だから、神様。私をもう一回だけでいいの
もう一回、家族に逢わせて」



この事件から十日後。
一人の男性が遺体で見つかった

身元を調べたところ、綾子の父親だった

その手には、拳銃が握られていた




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