偽りの仲、過去への決別

だからヒロがいくら話しかけても無理だと思っていた。「行ったよ。」 洋二は素っ気なく答えた。「昨日、カズは元気だった?。」「お前に関係あんのかよ。カズのことで。」 「いや~別に。直接は関係ないけど。」
「だったら何でそんなこと聞くのか。」「いやーやっぱりきちんと話したほうがいいと思って。」 ヒロは洋二の態度にむかついていたが我慢した。 洋二はヒロを絶対病院に連れて行ってはならない。その思いで一杯だった。
松山はヒロを連れて行くか迷っているのがわかったが、洋二は絶対ヒロを連れて行くことに反対なのもわかった。 もう一人結衣の意見を聞いておきたかった。しかし結衣の姿が見えなかった。 結衣はヒロが洋二に近づいてくるのを見て、教室を出て行った。
仕方なくヒロは洋二から情報を得ようと考えていた。「それでカズはあの事件のことで何か言っていたんだろう。」 「いや別に何も言ってないよ。それを聞きたくてわざわざ俺のところに来たんだ。だったら松山に聞けばいいじゃないか。」
洋二は言葉を吐き捨てた。「松山は何か悩んでいて話しにならないんだ。」 ヒロは洋二に問い掛けてみた。 洋二は考えていた。やはり何か昨日トラブルがあったのだ。「昨日松山と何かあったの。今日松山が変なんだ。」
洋二の態度が明らかに変になっていた。 「今日俺カズを見舞いに行こうと思うんだ。」 ヒロは洋二に宣言した。「1人でも行くよ。お前達が何を言おうが、俺は行くよ。」 ヒロは強気だった。 「それは止めろよ。」 洋二は焦っていた。ヒロが病院に行くことはカズが望んでいないのだから。 「別に俺の自由だろう。一々お前の指図なんか受けたくないし。」 ヒロは強気に責めることにより、洋二から情報を得ようと思っていた。それに松山とのトラブルもしりたかった。 「止めろよ。カズがお前と会いたがってないんだから。」 「カズが俺と会いたくないって言ったんだ。」「そうだよ。お前なんかと会いたくないって。よく言えるよそんなこと。松山といい、お前といいその厚かましさには反吐が出るよ。」