偽りの仲、過去への決別

なぜカズの神経を逆撫でることを言ってしまったのか。それに完璧に洋二と結衣は自分に不信感を持たせてしまった。言ってしまったことをしょうがないが、あまりにも軽率だったと反省していた。 2人に謝ろうと思ったが、松山はなかなか謝るタイミングをつかめずにいた。
それに2人は無言のまま、松山を無視していた。 松山はとにかく真相をしりたかった。どこかでまだヒロの言葉を信じたかった。 松山にもヒロが嘘をついていることがわかっていた。
カズの態度を見れば、明らかにヒロがカズの事件に何かしらの形で噛んでいるのは明快であった。 だからカズにははっきり言ってほしかった。 カズが松山に遠慮して真実を言わないことが松山にとっては何物にも変えがたいほどの悲しさであった。
次の日、松山と洋二はお互いを無視しあっていた。 結衣は2人のどちらにもつかず、ただ2人の状況を見つめていた。 松山の所には、いつしかヒロの姿があった。 「昨日、カズの見舞いに行ったんだろう。」 ヒロは何気なく尋ねた。
しかしよく観察すると、明らかに松山と洋二に何かトラブルがあったことがわかった。 ヒロはどんな形であれ、松山と洋二達の仲違いは歓迎すべき出来事であった。「どんな様子だった。元気になっていた。」 ヒロの質問に松山は何も答えずにいた。 松山は別にヒロを無視するつもりはなかった。ただもうヒロの嘘に付き合わされることにうんざりした。 ヒロは今までの松山と違うと悟っていた。
ヒロは何があったかしりたかった。 カズがすべてを話したのかもしれない。それでもヒロはよかった。最初からすべてを否定するつもりだからだ。 松山はヒロにカズに会うことを進めるか迷っていた。ヒロの答えはわかっていた。
自分の潔白を証明するためにカズに会いに行くだろう。 問題はカズであった。カズがあんなにヒロのことを嫌っているとは思っていなかった。 松山の筋書き通りの解決にはならないだろう。 今はまだカズの所にヒロを連れて行くことは避けるべきであろう。