連れて来られたのは保健室だった。 先生が会場の救護室に行っていて不在のため、由依が手当てをしてくれる。 「…………」 私を椅子に座らせ、自分は床にひざまずいて俯いたまま消毒液を塗る由依。 その顔にはいつもの眩しいくらいの笑顔はない。 怒ってるの……? そのまましばらく沈黙が続いた。 私が沈黙に耐え切れなくなった頃、ちょうど手当てが終わり、やっと由依が顔を上げた。 上目遣い。 不謹慎にも可愛いなんて思ってしまった後、その瞳が濡れていることに気づく。 そして次の瞬間……?