私こそ光る☆君 ~体育祭編~

「奏、美しく回りなさい!!」


『っ!?!?』


マットに手をついて回る直前にヒヤリとする、しかも訳のわからない注文を浴びせられ、頭のてっぺんで回ってしまった。


『いたたた……』


頭のてっぺんで回ったせいで、したたかに腰を打ちつけた。


おば……っ、じゃなくてさくらさん!!

前転で美しくって無理があるよ!!

しかも“奏”って呼ばないで!!


叫びたいのを必死でこらえて立ち上がり、ハードルに向かう。


今度こそ成功させたい。


このままゴールまでスピードを落とさずに走りきるつもりで足を速める。



ハードル1つめクリア。


あと2つ……。


きっと大丈夫。

無事にゴールできる。


2つめクリア。


ゴールはもうすぐそこ。

何も心配することない。

全速力で駆け抜ければ何とかなる。


自分に言い聞かせながらゴールの方に視線を走らせた。


しかし、これが間違いだった。