奇蹟のはじまり

『ダイジョウブ?』

女の子が僕の体を支えて

くれました。

状況がまだ上手く飲み込

めていませんでした。

ただ、もう殺されること

はないと分かったのと目

の前の戦友の死骸が現実

味がなくて暫くぼんやり

していました。

もう少し早くこの人たち

が来ててくれれば、こい

つは死ななかったのに。

そう思っていると、ふい

に涙が溢れて止まらなく

なりました。

弟さんに会いたいと言っ

て笑っていたのは昨日の

ことだったのに。

『Don't cry.Don't cry.

(泣かないで)』

突然泣き出した僕に偉い

人が背中をさすってくれ

ました。