彼女は婚約者が死んでか

ら何日も泣き続け、次第

に生きる気力をなくして

いきました。

『で、彼女は彼が生まれ

育った街を一目見て、彼

のもとに行こうと決意し

てこの街に来たんだって



そこで、彼女はこの街の

シンボルともいうべき潤

くんの木を見つけて、思

わず足を止めたのです。

ずっしりとした幹を大地

に降ろし、生命力に溢れ

る木は彼女の計画をたし

なめているようだったと

いいます。

彼女は涙に濡れた目で木

を見上げ祈ったのです。

『あの人に逢いたい。も

う一度だけでいいからき

ちんと気持ちを伝えたい

、そう思って祈りを捧げ

たの。その木が何故か願

いを叶えてくれる気がし

たんだ』