奇蹟のはじまり

僕はとっさに女の子をか

ばいました。

女の子も僕にしがみつい

てきました。

耳を衝く銃声の音を聞い

た時、もう、これが最期

だと思いました。

だけど、どれくらい経っ

ても痛みがありません。

恐る恐る目を開けると、

目の前に血だらけで倒れ

た戦友の姿がありました


一瞬何が起きたのかわか

りませんでした。

『チッ、手間かけさせや

がって。次は外さないか

らな』

隊長が銃を再び構えた時

でした。

『Stop it!』

鋭い声が聞こえました。

次に気付いた時には、周

りをぐるりと背の高い兵

隊に取り囲まれていまし

た。みんな手には銃を持

ち、銃口はこちらを向い

ています。