奇蹟のはじまり

『ダケド、イキテテモモ

ウヒトリダカラ』

生きてても独り―。

家族を奪われて彼女は哀

しい思いや恐怖、そして

自分だけ助かった罪悪感

を感じたことでしょう。

「本当にごめんなさい。

何も知らなかったじゃ済

まされないのは分かって

る。一人の日本人として

心から謝ります」

『日本人(リーベンレン)ハキ

ライ。ダケド、アナタタ

チハキライジャナイヨ』

その時、初めて彼女の方

から僕たちに歩み寄って

くれました。

その夜は彼女の家で三人

川の字になって眠りまし

た。

朝になっても戻っていな

いことが分かれば、二人

ともただではおかれない

でしょう。