奇蹟のはじまり





夕方の配給後、僕たちは

またあの子の家に行きま

した。

『俺たちは明日ここを発

つ。それまで、他の奴に

見つからないように隠れ

てるんだぞ』

『ドウシテ、タスケル?



『殺す理由なんてないか

らな』

女の子は昨日より少しだ

け警戒を緩めていました

。だけど、必要以上に近

づくと後ずさるのは変わ

りありません。

『日本人ニアッタラ、ナ

ニカサレルマエニジガイ

シナケレバナラナイトイ

ワレタ。ダケド、ワタシ

ハデキナカッタ』

「いいんだよ、出来なく

って良かったんだ」