大切な物が増えると、失

う恐怖がそれ以上に心に

迫ってきて、結局だめな

のです。恐怖―それは幼

い時からずっと一緒に過

ごしてきて慣れ親しんだ

ものでした。

時代は戦争の真っ只中で

した。道を歩けば、死体

がない日なんてありませ

ん。人が死んでいくこと

にも次第に慣れていきま

した。

身勝手かもしれないけど

智や雅紀、千恵さん、母

さんさえ生きててくれれ

ばいいと思っていました



子供が作れないのも時代

のせいにしました。

世の中が平和になっても

敵国が持ってきた法律な

んて信用出来ませんでし

た。