奇蹟のはじまり

振り返ろうとした僕に鋭

い声が止めました。

びっくりして、そのまま

の姿勢で固まっていると

後ろで啜り泣く声が聞こ

えてきました。

『せっかく久しぶりに会

えたのに、振り返っては

くれないのですか?』

思わず胸を締め付けられ

るような泣き方です。

暫く、逡巡していると何

の脈絡もなく突然霧が晴

れてきました。





『…てよ。起きてよ、智



かずの声が聞こえてはっ

としました。

『どこ行ってたんですか

?いつの間にかいなくな

るから探しましたよ』

気がつくと、そこは川の

ほとりでした。