だから、そんなことがあ

れば普通、妾腹のかずや

僕に辛く当たっても不思

議ではありません。

けれど、僕の奥様と過ご

した記憶の中にそういっ

たものは過去のどこを探

しても見当たりません。

『子供に罪はないから。

もし私が血を分けた子供

を産んでいたら、嫉妬に

狂っていたかもしれない

けれど』

奥様が後にそう言ってひ

っそりと笑っていました



『虹が見たかったら、雨

も我慢しないとね』

これは奥様の口癖でした

。辛いことや苦しいこと

があってもいつか、雨が

上がって綺麗な虹が出る

ようにいいことも必ずあ

ると奥様は信じていまし

た。