千恵さんはテキパキと翔

に指示を出していきます

。その表情は生き生きと

輝いていました。

やっぱり、子供欲しかっ

たのかな―。

翔を自分の孫のように可

愛がる千恵さんを見る度

に胸が痛くなります。



俺たちには子供はいませ

ん。作ろうと思えば、出

来ないことはなかったの

でしょう。だけど、あの

時の俺は臆病でした。自

分を守ることで手いっぱ

いだったのです。

だけど、千恵さんは何も

言いませんでした。責め

たりもしませんでした。

それでも、何度か子供を

作ろうとしたこともあり

ました。

だけど、結局出来ません

でした。