いつだったか、僕が小さ

い時大泣きしたことがあ

りました。かずと喧嘩し

たか、近所の悪ガキにい

じめられたか、今となっ

てはわかりません。

『男の子がいつまでもな

くものじゃありません!



女中頭に叱られた時も奥

様だけはかばってくれま

した。

『泣きたい時にはいっぱ

い泣いていいのよ。大き

くなったら、泣きたくて

も泣けなくなるんだから

。今のうちよ』

奥様は悪戯っぼく言って

、泣きやむまでずっと側

にいてくれました。

今考えれば、あれは奥様

自身のことを言っていた

のかもしれません。