奇蹟のはじまり

確かに、雅紀の死を追憶

することは辛いことでし

た。だけど、自分でも不

思議なくらい事実を受け

入れていました。あれか

らいくつもの夜を越えて

受け入れる準備はとうに

出来ていたように思いま

す。

『和也様、いいですか?



部屋の外から遠慮がちな

千恵さんの声が呼びかけ

ました。

「どうぞ」

千恵さんは俺と智の顔を

交互に見た後、少し困っ

たように言いました。

『あの…、お客様が来て

るんです』

「俺に?」

『それが』

千恵さんは一瞬躊躇った

後言いました。